ホテルと旅館に違いはあるの?宿泊のメリット・デメリットと合わせて紹介!

過去にはホテルと旅館には法律上の違いがあったものの、現在ではどちらも同じ「宿泊施設」として統一されています。法律的には同じとはいえ、過去には違いがあったことから、現在でもホテルと旅館は建物の造りや提供するサービスなど、さまざまな違いがあります。

この記事では、ホテルと旅館の違いや、宿泊時のメリット・デメリットを紹介します。筆者ごっこの地元、函館のホテルや旅館事情と合わせて解説しますので、ぜひ旅行時の参考にしてくださいね。

目次

ホテルと旅館の違いは“旅館業法”により定められていた

ホテル=洋室、旅館=和室と、イメージする人が多いかと思いますが、実は両者は法律(旅館業法(※1))で以下のように区別されていました。

【旅館業の区別】※2

ホテル営業洋式の構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業
旅館営業和式の構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業

さらに具体的に……

  • ホテルは客室10室以上、一客室の床面積は9㎡以上
  • 旅館は客室の数は5室以上、和式の構造設備の客室床面積がそれぞれ7㎡以上

など細かなルールがあったようです。

※1:e-Gov法令検索「旅館業法」

※2:国土交通省.民泊制度ポータルサイト.minpaku「旅館業法について」

2018年以降はホテルと旅館に法的区別はなくなった!

ただし、上記の区分は平成30年(2018年)6月15日に撤廃されました。現在では、ホテルも旅館も以下のように統一して定義されています。

旅館・ホテル営業施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、簡易宿所営業及び下宿営業以外のもの

なお、簡易宿所営業と下宿営業の定義は以下のとおりです。

簡易宿所営業宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業(ペンション、ユースホステルなど)
下宿営業施設を設け、1月以上の期間を単位とする宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業

以上のように、現在ではホテルも旅館も営業許可を得る時の条件が統一されたため、今後ははっきりとした違いがなくなってくるのかもしれません。とはいえ、昔はホテルと旅館に法律上の区別があったことから、現在でも雰囲気や利便性などに違いが見られることが多いですよね。

関連記事:民宿とゲストハウスの違いとは?宿泊のメリット・デメリットとを合わせて紹介!

ホテルと旅館の一般的な違い

現在では法律上の違いはないとはいえ、やっぱりホテルと旅館では泊まったときの雰囲気やサービスは異なるものです。そこで、ここからは一般的にいわれるホテルと旅館の違いを紹介します。

  • 建物
  • 客室
  • サービス
  • ルール
  • 食事

建物

従来の旅館業法では「ホテル=洋式の構造及び設備」「旅館=和式の構造及び設備」を主としていました。そのため、現在でもホテルは洋風建築やビルタイプが多く、最上階から夜景が見える、バーがある、プールが付いているなど設備も洋風が多い印象です。

一方、旅館は和風建築で階数も少なく、入口には旅館名が書かれた提灯が下がっていることも。中に入れば日本庭園が設けてあったり、露天風呂や大浴場があったりなど、趣深いタイプが多いですよね。

客室

ホテルは洋室にベッドやソファが置いてあり、土足で室内に入れる点も特徴です。一方、旅館はたたきで靴を脱いでから和室の室内に入ります。日中は畳の上に机と座布団がありそこで寛ぎ、夜には布団が敷かれてその上で寝るタイプです。

客室内の作りも、ホテルは機能性重視やラグジュアリーなどいくつか種類がある一方、旅館は風情のあるものが多いでしょう。

ただし、現在では畳の客室があるホテルがあったり、旅館でもベッドを用意していたりすることもあります。客室の種類が多様化しているので、泊まる前にどのような部屋があるか確認した方がいいですね。

サービス

ホテルは宿泊者のプライバシーを重視し旅館は行き届いた“おもてなし”がサービスの特徴とされています。

ホテルの場合、チェックインも自動でできることが多く、24時間自由に外出も可能です。また、食事がでるときはある程度提供時間が決まっているものの、好きなときに食べられます。客室の多くは防音対策をしっかり行い、ドアもオートロックでセキュリティ対策に力を入れています。

一方、旅館では宿泊時の女将さんのお出迎えに始まり、仲居さんが客室まで荷物を運ぶ、お茶や配膳のお世話をする、布団の上げ下ろしを行うなど、人の手によるおもてなしが特徴です。

ルール

ホテルと旅館では滞在時の服装のルールにも違いがあります。

ホテルでは客室内でも基本は土足、客室外はスリッパや浴衣はNGとしていることが多いでしょう。一方、旅館の場合、客室内は土足禁止、客室外は浴衣やスリッパで出歩けることが多く、食事も浴衣で問題ありません。

食事

ホテルは朝食、旅館は夕食が付いていることが多い傾向です。

ホテルの場合、夕食よりも朝食に力を入れていることが多く、ビュッフェ形式で好きなものを好きなだけ食べられるプランもあります。食事の内容は洋食も和食もあるものの、どちらかといえば洋食に比重を置いていることが多いでしょう。一方、夕食はプランに組み込まれているというより、各自でホテル内の好きなレストランを選んだり、外に食べに行ったりできる点が特徴です。

旅館では、夕食付、または朝食・夕食付きなど、夕食に力を入れていることが多い傾向です。客室または大広間で懐石料理をいただけるプランが多く、洋食を提供している旅館はあまりありません。朝も和食が基本です。

ホテルと旅館の一般的な違いが分ったところで、次からホテルと旅館、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。目的に合った宿泊施設を選べば、より充実した旅になりますよ。

ホテルのメリット・デメリット

ホテルのメリットはなんといっても自由度の高さです。旅行の計画が詰まっているなら、時間を自由に組み立てられるホテルの方が充実度は高くなるでしょう。一方、旅館以上にさまざまなプランがあるため、目移りしやすく選びづらい点はデメリットです。

関連記事:ビジネスホテルとシティホテルに違いはある?価格・立地・特徴に分けて解説!

メリット:自由度の高さ

ホテルの場合、旅行中の計画を自由に組み立てやすい点がメリットです。

例えば、素泊まりにして食事はご当地グルメを楽しむ、天然温泉のあるホテルで旅の疲れを癒すなど、旅のサポートとしてホテルを活用できます。一方で、高級ホテルを選べばホテルステイ自体を旅の目的とすることも可能です。

チェックインやチェックアウトなど、ある程度時間が決まっている部分もあるものの、旅館以上に融通は効きやすくなります。

デメリット:選択肢が多く選ぶのが大変

ホテルの場合、料金・立地・プランなど、旅館以上に選択肢が多い印象です。そのため、旅の計画がまとまっていないとすると、候補がありすぎて絞り込めないこともあります。さらに、いざ泊まるホテルが決まっても、「素泊まりか朝食付きか」「客室はシングルベッドかダブルベッドか和室か」など、さらにこまかく選択していく必要があります。

泊まった後も「夜はどこで何を食べるのか」など、決めていかなくてはいけません。面倒くさがりの人だと、旅程の他にも色々決める必要があり、億劫になるかもしれませんね。

旅館のメリット・デメリット

至れり尽くせりのおもてなしで、日常の雑事を忘れて気兼ねなくのびのびできるのが旅館のメリットです。一方、食事の時間や入浴時間など、ある程度スケジュールが固定されるため、急な変更に対応しづらい点がデメリットです。

メリット:おもてなしを受けのびのびと寛げる

日常の雑事を離れ、上げ膳据え膳でのびのびと寛げる点が旅館のメリットです。大抵の旅館は食事付きプランがあるので、旅先で「何を食べよう」と迷う必要もありません。また、温泉地などは旅館への宿泊自体を旅の目的にできるので、あくせく動き回らず、ひたすらのんびりしたい人にもおすすめです。

デメリット:スケジュールがある程度固定される

旅館の場合、朝食や夕食、布団を準備するタイミングなど、ある時間が固定されるため、急な変更に対処しづらい点がデメリットです。例えば、もう少し観光地巡りを楽しみたいとしても、夕食の時間が迫っているなら諦めて帰ってくる必要があります。アクティブに行動したい人なら、時間の制約があることで不自由に感じるかもしれません。

函館で泊まるならホテルと旅館どっちがいい?

最後に、函館旅行で泊まるならホテルと旅館、どちらがおすすめかご紹介します。土地柄なのか、函館は旅館に近い営業形態でも「ホテル」と名乗っている施設が多く、本州にあるような“純旅館”はほとんどありません。

また、ホテルであっても和室あり・天然温泉あり・懐石料理ありなど、旅館に近いサービスを受けられる施設が多いので、基本的にはホテルを選んでおけば間違いありません。なお、函館にある旅館は客室数が20室前後と少ないので、ホテルの喧騒が苦手な人は旅館の方が落ち着いてリラックスできると思います。

基本的にはホテルがおすすめ

函館の場合、旅館よりもホテルの方が圧倒的に多いです。さらにホテルといいつつ和室も洋室もあるし、温泉もついているし、和食も食べられるので、迷ったら「ホテル」から探せば希望の宿泊施設が見つかると思います。ここでは、以下の3つのホテルを例にご紹介します。

  • 函館・湯の川温泉 ホテル万惣
  • 湯の川温泉 花びしホテル
  • プレミアホテル-CABIN PRESIDENT-函館

函館・湯の川温泉 ホテル万惣

画像は楽天トラベルより引用

「函館・湯の川温泉 ホテル万惣」では、客室では靴を脱ぐスタイルながらベッドで寝られる「スーペリアツイン」の他に、布団を敷くタイプの「和室」も用意しています。温泉も露天風呂の他に壺湯や3種類のサウナなど充実。朝食と夕食はどちらもブッフェ形式で提供しています。

湯の川温泉 花びしホテル

画像は楽天トラベルより引用

「湯の川温泉 花びしホテル」は、「ホテル」という名称ではあるものの、洋室も和室も完備しており、露天風呂付き客室もあります。一方で、和洋室のようにベッドもあるし畳ルームもあるような客室もあります。なお、外観は旅館そのものです。さらに、夕食では懐石料理を選べ、温泉も付いているので、“旅館”といっても差し支えありません。

プレミアホテル-CABIN PRESIDENT-函館

画像は楽天トラベルより引用

「プレミアホテル-CABIN PRESIDENT-函館」は、JR函館駅前徒歩1分の立地のホテルです。客室は洋室のみでシングルからツイン、スイートがあり、大浴場はなし、朝食はブッフェ形式で提供するホテルらしいホテルです。夕食の提供はない代わりに、13階にはバーを完備しています。

【注意】ホテルといいつつ宿泊プランを見ないと実態が分らない

以上のように函館の場合、「ホテル」といいつつ、本当に洋室のみの正統派ホテルから、和洋折衷タイプ、どちらかといえば旅館に近いホテルまでさまざまなタイプがあります。

さらに、以下のようにエリアによりホテルの傾向が異なるため、宿泊プランや客室情報を見ないと、どのようなタイプなのか分からない点にも注意が必要です。

エリアホテルの傾向
函館駅前(朝市・大門)正統派ホテルが多い傾向。
五稜郭正統派ホテルの他、ビジネスホテルが多い。
元町、ベイエリア和洋折衷タイプのリゾートホテルが多い傾向。ペンションも多い。
湯の川和洋折衷タイプが多く、旅館のようなサービスを提供するホテルもある。

このように、エリアごとの特性がホテルにも反映されています。ホテルといいつつ千差万別なので、旅の目的にあっているか、宿泊プランまでよく見て確認するのがおすすめです。

喧騒を離れ静かに過ごしたいなら旅館がおすすめ

なお、数は少ないながら函館にも「旅館」の名称で営業している宿泊施設が何件かあります。函館の旅館の場合、客室数が50以下と少ないので、「ホテルは人が多くガヤガヤしていて苦手」という方におすすめです。

懐石料理も函館や道南、北海道の旬の食材をふんだんに使っている点も魅力です。参考までに、「旅館」で営業している宿泊施設と部屋数を記載しておきます。

  • 割烹旅館 若松:総部屋数24室
  • 純和風旅館一乃松:総部屋数29室
  • 竹葉新葉亭:総部屋数41室
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

現函館市在住のごっ子です。
このブログでは地元民のごっ子が宿泊して良かったホテルや、季節のイベントなど少し役立つ観光情報をご紹介します。

中学・高校と函館市で過ごし、社会人になってから地元に戻ってきて早10年。昔から観光のお客さんが多かったものの、最近では駅前や五稜郭エリアが新しく生まれ変わり、有名企業のホテルも続々建設されています。

「函館って飲食店のブログは多いものの、ホテル情報をまとめたブログって案外少ない。ホテルでのんびり過ごすのが好きだし、せつかくなら情報をまとめたら分かりやすいのでは?」と思ったのがこのブログを始めたきっかけです。不定期ですが、役立つ情報を更新していきたいと思います。

ごっことはホテイウオのこと。

コメント

コメントする

目次